リレーのオフディレイ回路(遅延回路)について記載します。

 

はじめに

このページはリレーのオフディレイ回路(遅延回路)について詳しく記載したページです。 オンディレイ回路については を参照して下さい。

 

オフディレイ回路について

このページで紹介する回路はリレーがOFFするのを遅延させる回路です。

具体的には、信号が入力された場合(スイッチがオンされた場合)はそれと同時にリレーがONしますが、 信号が途切れてからリレーがオフするまでに遅延を発生させます。

より具体的に説明すると・・・
1) スイッチオンで即時リレーがオンします。
2) スイッチオフでタイマが動作します。
3) タイムアウトしたらリレーがオフします。
4) タイムアウト前にスイッチがオンした場合タイマがリロードされます。

回路図はこんな感じです。部品数も少ない簡単回路です。

 

ディレイ時間(遅延時間)の変更方法

ディレイ時間を変える場合は以下ように RC を変更します。

ディレイ時間の詳細は次の項目を参照してください。

 

ディレイ時間(遅延時間)について

ディレイ時間はそれぞれ「コンデンサ容量 * 抵抗値」になります。

例えば コンデンサを100μFにし、抵抗を10kΩにした場合はこういう計算になります。

0.0001(F) × 10000(Ω) = 1秒
(回路図では 47uF × (15kΩ + 50kΩ) = VRが最大のとき3.055秒)

但し この回路の時間精度はかなり悪い です。必ず実測して調整してください。

精度が悪い理由は、この回路が2SC1815のhfe(増幅率)に依存していて、 hfeのバラつきは 200% - 400%くらいだからです(倍率はグレードによります)。

 

リレーがチャタリングするときの対策

スイッチ(入力信号)に目立ったアナログ信号が乗ってしまうことでリレーがチャタリング(カチカチと高速でオンオフ)してしまうときは、 本来であればスイッチの後にシュミットトリガ回路を入れなければなりません。

但しシュミットトリガを入れる場合、アナログコンパレータを挿入したりで複雑な回路になってしまいます。 そんなめんどうなことはしたくありませんので、ものぐさ仕様でかつ確実にチャタリングを防ぐ回路を考えました。 ただただ抵抗を1本追加するだけです。

上記回路図の抵抗値を小さくすれば小さくするほどノイズに強くなります。 ただ、小さすぎるとトランジスタのベースに電流が流れなくなってリレーが動作しなくなります。

こればかりはノイズに依存するので、実際に試しながらやるしかありません。 ノイズがどの程度かよくわからないのであれば半固定抵抗を入れておくと良いでしょう。

一応原理を説明しておきますと、 抵抗によって 入力電圧を分圧で小さくすることでノイズも相対的に小さくしてしまおう という仕組みです。 このレベルの回路にシュミットトリガを入れるくらいなら、抵抗一本の対策のほうが現実的だと思います。

 

注意事項

2SC1815は少し(仕様上は150mA)しか電流を取り出せません。 常温で コイル動作電流80mA程度のリレーを動かすのが精一杯 です。(75℃で半減します) 従って大きなリレーを動かすことはできません。動かすとぶっ飛びます。

このため、ベースには最低でも10kΩ程度の抵抗を入れておいてください。 (VRだけだとツマミのまわし方で0Ωになるので注意!)

 

実際に作成してみた

回路図と全く同じものを作成してみました(作成時間: TV見ながらダラダラやって20分)。 使用したリレーは 941H-2C-12D です (秋月で購入)。

遅延時間を実測すると 最小設定で約3秒、最大設定で約10秒 でした (動画は最小設定)。 理論値とかなりかけ離れていますね。hfeにバラつきがあるので仕方ないです。

ただし遅延時間自体に目立ったバラつきはあまりありませんでした。 意図的にチャタリングさせても問題なく動作しています。

 

めんどくさい人向けの完成品

残念ながら、今の時代は作るより買ったほうが安いです。 しかし、以下の製品は安すぎて逆に怖い。誰か人柱になってください。

 

とりあえず今日はここまで。

コメント

ふがらさ

  • URL

はじめまして。
この記事を参考にしてサンキューハザード回路を作り、ブログで公開しました。
ありがとうございます。
問題がございましたらご連絡をお願いいたします。

風波

  • Mail

はじめまして。本記事を参考に、自身の愛車にもOFFデュレイ回路を取り付けしたいと思っています。それで回路について質問させて下さい。ショットキーダイオードは、どのような仕様の製品を使用したのかを教えていただきたいのですが。どうぞよろしくお願いします。

kaeru.

風波さん

遅れてすみません。このページで使用しているショットキバリアダイオードは以下です。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-07699/

なぜ上記にしているかは、以下サイトの「ダイオードの選定」あたりを見ていただいたほうがよさそうです。とてもわかりやすく書いてありました。
https://detail-infomation.com/relay-back-electromotive-force/

もし大きなリレーを動かす場合は、上記を参照のうえでショットキバリアダイオードを選定してもらうのがいいかと思います。エーモンあたりのリレーなら、以下で十分かと思います。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-07788/

ただ、「注意事項」にも記載していますが、大きなリレーを動かす場合は、リレーのコイル動作電流に合わせたトランジスタに変更してください。

まちろん

  • Mail

はじめまして。コメント失礼いたします。
本ブログを参考に、車のセル起動時にACC切断によるナビ再起動防止として組み込みたいと考えております。
そこで質問なのですが、各端子の接続先(説明が伝わりやすいようエーモンリレー3235の配線色を使わせていただきます)としては、
スイッチング信号部分はACC、リレー動作のコイル部分(青)は常時電源、
リレーの接点部分入力側(赤)は常時電源、リレー接点部分出力側(黄)はナビのACC入力でよろしいのでしょうか?

お手数をおかけしますが、以上宜しくお願い致します。

kaeru.

まちろんさん

お問い合わせありがとうございます。その認識であっています。

以下、駄文です。
------------------------
私の認識だと、大抵のナビはエンジン始動時に再起動しないように設計されています。これは、ナビ側でイグニッション信号を監視することで実現しています。そのため、まちろんさんの環境では他の問題が起きている可能性も考えたほうがいいかもしれません。例えば、セル始動時にバッテリー電圧が極端に低下する(バッテリーの劣化)など。
まずは、ナビのACC入力線を常時電源に接続した状態でセルを回し、ナビが再起動しないかどうかを確認したほうがよいかもしれません。再起動するようであればセル始動時にバッテリー電圧が低下しているということで、ACCに遅延回路を入れても問題が解決しません。

小茶

  • Mail

リレーOFF遅延回路を全身麻痺した愛犬のリハビリに利用したいと考えております。
トリガは犬で行いますがカチャカチャと作動させてしまいタイマがリロードさてしまいます。
遅延時間は約2秒で設定しています、この時間内タイマリロードを無視したいのです、
何か良い方法が有りましたらお願いしたいのです。
愛犬命の後期高齢爺です、よろしくお願いいたします。

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